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2025/02/14

「ルクス」「輝度」とは? 照明計画の基本指標をわかりやすく解説

照明計画は、工務店、建築家、インテリアデザイナーなど、家づくりに携わるプロにとって欠かせない作業のひとつです。しかし、照明に関する指標や単位は種類が多く、「今さら聞けない」と感じることも多いのではないでしょうか?

「ルクス」「輝度」など、よく耳にするけれど実際にはどう活用すればよいのか曖昧なまま進めている方も少なくないはず。照明は空間の印象を左右する重要な要素でありながら、基本を理解するだけで格段に設計の精度が向上します。

最近では、AI照明設計ツールを活用すれば、短時間で効率的に照明計画を進めることが可能になっています。しかし、基本となる指標を理解していなければ、こうしたツールを十分に活用することはできません。

そこで今回は、家づくりのプロなら押さえておきたい照明計画の基本指標をわかりやすく解説します。この記事を通して、日々の設計や提案にすぐに活かせる知識を身につけましょう。

1. 光束(ルーメン)

光束は、光源が放つ可視光全体の量を示します。単位はルーメン(lm)で、照明器具の明るさを評価する際の基本的な指標です。たとえば、100ルーメンの光源は小さなテーブルランプ向け、数千ルーメンは空間全体を照らすメイン照明向けといった目安になります。

ポイント

光束は「光の総量」を表しますが、実際の空間でどの程度明るく感じるかは、照度や反射率、器具の効率にも影響されます。特に光の広がり方を考慮することが重要です。


2. 照度(ルクス)

照度は、特定の面に届く光の量を示す指標です。単位はルクス(lx)で、1平方メートルあたり1ルーメンの光束が当たる状態を指します。作業の効率や快適さに直結するため、用途に応じた適切な照度を計画することが大切です。

適用例
  • リビングや寝室:200〜300ルクスで、リラックスできる柔らかな雰囲気を演出。

  • キッチンやオフィス:500ルクス以上で、作業効率を高める明るさを確保。

  • 展示空間:スポットライトで局所的に高照度を実現し、注目を集めたい対象を引き立てます。

ポイント

照度は空間全体の均一性を考える必要があります。高すぎる部分と低すぎる部分の差が激しいと、不快感を与える可能性があります。

3. 光度(カンデラ)

光度は、光源から特定の方向に向かって放たれる光の強さを示します。単位はカンデラ(cd)で、スポットライトやタスク照明のように、指向性のある光を設計する際に重要です。

適用例
  • アクセント照明:アート作品や建築のディテールを強調したい場合に光度が高い照明を使用。

  • タスク照明:机や調理台など、特定の作業エリアをピンポイントで明るく照らします。

ポイント

光度は光の集中度を表し、照明器具の反射板やレンズの形状によっても大きく影響を受けます。光が拡散しない設計が必要な場合は特に注視するべき指標です。考慮する際、直接照明と間接照明の特性を理解しておくと、より効果的な空間演出が可能です。特に、間接照明を活用することで、グレアを抑えながら心地よい明るさを確保できます。詳しくは、直接照明と間接照明の違いをご覧ください。


4. 輝度(カンデラ/平方メートル)

輝度は、照らされた表面や光源そのものがどの程度明るく見えるかを示します。単位はカンデラ/平方メートル(cd/㎡)です。視覚的な快適性やまぶしさ(グレア)の評価に直結する指標です。

適用例
  • 住宅照明:リビングや寝室では、低輝度でリラックス感を高める設計が好ましい。

  • オフィス:高輝度が必要な作業スペースでも、目に負担をかけない適度なコントロールが重要。

ポイント

輝度が高すぎると、不快感を与えるだけでなく、長時間の使用で目の疲れを引き起こします。均一で適切な輝度設定が快適な空間作りに欠かせません。

5. 発光率(ルーメン/ワット)

発光率は、消費電力1ワットあたりにどれだけの光束を発生させられるかを示す指標で、単位はルーメン/ワット(lm/W)です。高効率な照明は、エネルギー消費を抑えつつ、十分な明るさを提供します。

適用例
  • 省エネ照明:LED照明など、効率が高い光源を使えば、電力コストを大幅に削減できます。

  • 公共空間:消費電力が高くなりがちな大型施設では、効率の高い器具選びが重要です。

ポイント

効率の良い照明は環境負荷の軽減にもつながります。ランニングコストを抑えるだけでなく、サステナブルな設計をサポートします。

6. 測光学

測光学は、光の視覚的な影響を研究する科学分野です。特定の単位はありませんが、人間の目に快適な光環境を提供するために欠かせない分野です。

適用例
  • 空間設計:光の分布や明るさを調整し、自然な見え方を作り出す。

  • カラー評価:商品の見え方を正確に保つため、光源のスペクトル特性を考慮。

ポイント

測光学の知識を活用することで、光がもたらす心理的・生理的な影響を最適化し、ユーザー体験を向上させます。

7. IPとIK等級

  • IP等級(Ingress Protection)

    • 単位:2桁の数字(例:IP65)

    • 役割:固形物や水の侵入に対する照明器具の耐久性を評価します。屋外や湿気の多い場所に設置する際に必須の指標です。

  • IK等級(Impact Protection)

    • 単位:0〜10のスケール

    • 役割:物理的な衝撃に対する耐性を示します。工場や公共施設など耐久性が求められる環境で重要です。

これらの単位が重要な理由

基本を押さえることで、以下のメリットを得られます:

  • 使いやすく美しい空間を効率的に計画できる。

  • エネルギー効率を高め、持続可能な照明を実現。

  • ユーザーにとって快適な光環境を提供できる。

  • 適切な耐久性を持つ照明器具を選べる。

どの単位を使うことが多い? 照度(Lux)に注目する理由

すべての概念が役立ちますが、中でも特に重要なのは照度(Lux)です。空間に適切な光の量を確保するための鍵となります。照度を意識することで、以下のようなバランスを取ることができます。

  • リラックスできるリビングには、200〜300ルクスが最適。

  • 集中力が求められるオフィスやキッチンには、500ルクス以上が必要です。


【注意ポイント】

「ルクス」とよく混同される指標に「ルーメン」がありますが、この2つは異なる概念です。ルクスは照らされた面の明るさを表し、ルーメンは光源から放たれる光の総量を示します。この違いについて詳しく知りたい方は、ルクスとルーメンの違いを解説する記事をご覧ください。

まとめ

これらの単位と概念を正しく理解することで、空間の用途や条件に最適な照明計画を立てることが可能になります。特に「照度(ルクス)」や「輝度」は、空間の快適性や実用性を高める基盤となります。また、屋外環境やエネルギー効率を考慮する際には、IP・IK等級や光源効率にも注目することが重要です。

しかし、これらすべてを手作業で計算し、最適な照明配置を決定するのは時間と労力がかかります。AI照明設計ツールChubicを活用すれば、空間の条件に応じた最適な照明プランを自動で生成でき、専門知識がなくても数分で理想的な照明計画を作成できます。初心者からプロまで直感的に操作でき、効率的に質の高いデザインを実現できます。

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